勉強の目的

みなさんは、なぜ勉強をするのだと思いますか?

・良い学校に入るため

・良い仕事につくため

・将来幸せに暮らすため

など、その目的は人それぞれでしょう。

もちろん、それはその通りだと思います。

そして、目的はたぶん一つではなく、

複数あることでしょう。



でも、それは勉強をすることで得られる副次的なものに過ぎず、

本来の目的ではありません。

学校の教科書には、

もともと、なぜ勉強するのかについて説明する文書が、

冒頭に掲載されていました。

最近の教科書には、

その掲載がないものも少なくありませんが

そもそもなぜ勉強するのかがわからないと

私たちは、目的と手段を混同し、

手段が目的であると錯覚してしまうことにもなりかねません。

たとえば、中学生用の数学の教科書である

『未来へ広がる 数学のご案内』(啓林館)によれば、

この教科書には

 ・自分から学びたくなる

 ・自分の考えを伝えたくなる

 ・自分の考えを深めたくなる

工夫がつまっています。

と書かれています(同教科書の内容解説資料Aより引用)。

これを見て何か気づきませんか?

そうです。

数学の公式を覚えるとか、

関数が使えるようになる

などとは、どこにも書いてありません。

あくまでもこの教科書が目指しているのは、

 ・自分から学びたくなる

 ・自分の考えを伝えたくなる

 ・自分の考えを深めたくなる

ことです。



すなわち、

公式を覚えたり、

関数が使えるようになる

ことは、あくまで手段であり、

勉強の目的ではないということです。

数学を勉強する目的は、

数学的なアプローチを通じて、

自分の周りにある未知のことをわかるようにすることです。

これは他の科目でも同様のことが言えます。

国語なら国語的なアプローチで、

理科なら理科的なアプローチで、

美術なら美術的なアプローチで、

自分の周りにある未知のことをわかるようにしていくことが

その科目を勉強する目的なのです。

そして、これこそが哲学であると言えます。



哲学については、

以前、私のブログの哲学の部屋でご紹介していますので、

詳細はそちらをご参照いただけると幸いですが、

勉強は、

世の中のわからないことをわかるようにする

すなわち、哲学をするために

必要な知識や方法を学ぶことです。

それぞれの科目は

哲学の1つの形態に過ぎません。



先ほど教科書の冒頭に

「はじめに」とか、「前書き」として

その科目を学ぶ目的が明記されているとご紹介しました。

ですから、新しい学年が始まる時には

先生はこの目的を

しっかりと生徒(または児童)と共有することがとても重要です。

インテリ芸人として活躍されているロザンの宇治原さんは

YouTubeで次のように解説されています。

しかし、
私たちのほとんどは、この勉強の目的を正しく理解することなく、

方法を暗記することばかりに目を奪われてしまっていたのではないでしょうか。
かく言う私もその一人でした。

先生が勉強の目的を説明していたにもかかわらず、
私たちは、その説明を聞き漏らしていたのかもしれません。

あるいは、

そもそも先生がそれを説明していなかったのかもしれません。

わかりませんが、

目的を知らずに、その目的にたどり着くことは

基本的にありえません。

一つ一つの細かい事象にばかりに注目していても、

全体像を把握することはできません。

まさしく「木を見て、森を見ず」です。

物事はまず俯瞰して見なければ、

その本質を正しく理解することはできないのです。

何より全体像を理解しない限り、

勉強が楽しくなることもありません。

楽しくないなら、勉強をしなくなります。

勉強しないから、テストの点も悪くなります。

そしたら、勉強を嫌いになります。

これでは負のスパイラルに陥ってしまいます。



とは言え、

私たちは、本来の目的を忘れ、

手段が目的になってしまうことがままあります。

たとえば、

スーパーでレジのアルバイトをするとします。

レジの仕事の目的とは何でしょうか。

お客様がかごに入れた商品の金額を

バーコードリーダーで読むことでしょうか。

あるいは、

会計をすることでしょうか。

もちろん、それも仕事の内の一つですが、

それは手段です。

スーパーの事業の目的は、

 ・継続的にたくさんの売り上げをあげること

です。

そのためには、

・継続的にお客様に来ていただくこと

・一度にたくさん商品を購入してもらうこと

です。

レジ係の仕事の目的も同じでなければなりません。

レジ係は、事業目的を達成するための

役割の1つに過ぎないからです。



しかし、

スーパーに行くと、

いろいろなタイプのレジ係を見かけます。

・愛想もなく、ただ商品の金額を集計し、会計をする人

 ・雑に会計済のかごに商品を入れる人

 ・肉汁がこぼれないようにビニール袋に入れる人

 ・商品がつぶれないように、整理して会計済かごに入れる人

 ・お客様の手間を少しでも減らすために、

お客様がお金の準備をしている間に、

商品を入れたかごをサッカー台に運ぶ人

みなさんは、どんなレジ係がいる店にまた行きたいと思いますか?

「お客様に対する思いやりがあるレジ係のいるスーパーに行きたい」

と思うのではないでしょうか?

このように目的が認識されていないと、

私たちは手段が目的となってしまいがちです。

すなわち、スーパーの例で言いますと、

「継続的にたくさんの売り上げをあげる」という

事業目的を達成するために、

・継続的にお客様に来ていただくこと

・一度にたくさん商品を購入してもらうこと

という課題をクリアする必要があると認識していれば、

 ・愛想がない

 ・商品を雑に扱う

など、自分がやられたら「嫌だな」と思うような行為は

少なくともしないのではないでしょうか。

繰り返しですが、勉強の目的は、

世の中のわからないことをわかるようにするために

必要な知識や方法を学ぶことです。

私たちが住む世界では、

まだまだ未知のものがたくさんあります。
たとえば、体調が悪くて、病院に行ったとします。

そうしたら、診察した先生が「風邪ですね」と言ったとします。

しかし、風邪という病気は、実はありません。

風邪とは、まだその原因が解明されていない

ある症状の病気を示す言葉です。

先人たちは

・なぜ昼と夜があるのか

 ・空を飛ぶにはどうしたら良いのか

 ・たくさんの情報をタイムリーに得るにはどうしたらよいのか

などの疑問をたくさん解決してきました。

それでも、まだまだ解決しなければならない疑問は尽きません。

 ・自然災害による被害をなくすにはどうしたら良いのか

 ・病気をなくするにはどうしたら良いのか

勉強というと、

何か大変なもの、嫌なものというイメージが先行してしまいがちですが、

私たちは本来「わからないものを知りたい」という欲望を持っています。

子供の頃に、

「どうして、〇〇なの?」と

お父さんやお母さん、

あるいは周りの大人に

質問した経験は誰にでもあるはずです。
人はみな「わからないことは知りたい」のです。

日本では、

小学校、中学校は義務教育です。

では、誰の義務でしょうか?

このような質問をしますと、

小学校、中学校に通う子供の義務だと

答える方がいらっしゃいますが、

それは違います。

義務は、子供を持つ親に課せられています。

親は、わが子を小学校や中学校に通わせる義務があります。

子供には、学校で勉強する権利があります。
でも、親御さんも、学校に通う子供たちも

 ・子供は学校に通う義務がある

 ・勉強するのが子供の仕事

のように、勘違いしていることが多いような気がします。

という私も子供の頃にそのような言葉をたくさん聞きました。

一時期は、それを信じていたこともあります。

だから、勉強するのが負担に感じていました。

日本語の「頑張れ!」という言葉を英語で何ていうでしょうか?

たぶん、日本語の「頑張れ!」に相当する言葉はない気がしますが、

「Do your best(ベストを尽くしなさい)」が

意味的に最も近いのではないでしょうか。

でも、私はもっとふさわしい言葉があるような気がします。

「Enjoy yourself(楽しんで)」、

いかがでしょう?

どちらの言葉がより頑張れそうな気がしますか?

日本語の「頑張れ!」という言葉は、

なぜか悲壮感を伴います。

しんどさを連想させます。

どこかプレッシャーを感じます。

ベストを尽くさなければいけないのはわかりますが、

それを改めて他の人から言われると、

なぜかプレッシャーを感じてしまいます。

しかし、

「楽しんで」と言われると、

何か前向きに取り組めるのではないでしょうか。

実際、欧米の人々は「enjoy」という言葉をよく遣うように感じます。

それがやらなければないことだとしても、

 ・がんばれ

 ・ベストを尽くせ

と言われるよりも

 ・楽しんで

と言われた方が、前向きに取り組めるのではないですか?

どうせやらなければならないのに、

あえてプレッシャーをかけて萎縮させるよりも、

余計な力が抜けていた方が結果もよくなるのではないでしょうか?

だから、勉強を楽しみましょう。

大人になってから、

「若い頃にもっと勉強しておけば良かった」と反省する方を

よく見かけます。

私もその一人です。

若いころにそのありがたさ、大切さをあまり感じませんが、

実は勉強に集中できる環境は非常に恵まれています。

そして、

勉強はすればするほど、

世の中を正しく見ることができるようになり、

やりたいことができるようになるはずです。

Enjoy your studying !

楽しんで勉強してみませんか?

太海