楽しく勉強するには
みなさん、勉強はお好きですか?
このように質問すると、
ほとんどの方から「あまり好きではない」という回答が返ってきそうです。
そう言う私も、同じ質問をされたら、
たぶんそう答えると思います。
でも、勉強の条件を変えたら、
私は「好き」と答えます。
「えっ、どういうこと?」と思われるかもしれません。
私があまり好きではないのは、
学校の、特に面白くない授業の勉強のことで、
知的好奇心を満たす本来の意味の勉強は
決して嫌いではなく、
むしろ好きだからです。
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みなさんの中には、
「勉強は学校でするもの」という思い込みがありませんか?
あるいは、
「勉強は教科書や専門書から学ぶもの」という先入観はありませんか?
もちろん、それも勉強です。
しかし、本当にそれだけでしょうか?
私が子供の頃に、
テレビや漫画なんかを見ていると、
よく親から
「そんなくだらないものを見ているぐらいなら、勉強しろ」と言われました。
その時、私は、
「なぜテレビや漫画を見ていたら、
勉強ができないのだろう。
勉強って何だろう」
と、疑問に思ったことを今でも覚えています。
実際、私が今持っている知識や思考の多くは
テレビや漫画から学んだものです。
もちろん、そうした知識は、
教科書や専門書と比較したら
間違っているものも多いかもしれません。
たからと言って、
教科書や専門書がすべて正しいとも言い切れません。
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私たちが子供の頃は、
鎌倉幕府が始まったのは、1192年と習いました。
「いい国(1192)作ろう、鎌倉幕府」と暗記したものです。
しかし、何年か前から「これは間違いだった」という理由で、
鎌倉幕府が始まったのは1185年だと修正されました。
最近になってこれも間違いだとして、
さらに修正されているようです。
言い過ぎかもしれませんが、
正直、現代で暮らす私たちには、
鎌倉幕府がいつ始まったのかなんて
どうでもいい情報です。
もちろん、同時期に日本や世界で何が起きていたのかを考える場合に、
その歴史的関係性の認識にズレが生じてしまうことは
多少問題がありますが、その程度です。
たぶん、実害は少ないでしょう。
このような発言をすると、
歴史好きの方からお叱りを受けてしまうかもしれませんが、
私は、
「歴史は、過去の成功例や失敗例を学び、
未来に活かすための教訓である」
と考えていますので、
歴史的な正確性やロマンを追い求めるよりも
未来がどうなるかの方がよほど重要です。
これは価値観の違いですので、
納得いかない方もいらっしゃるかと思いますが、
ご容赦をお願いします。
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話を元に戻しますが、
「テレビや漫画は勉強の邪魔になる」という考えには、
偏見と誤解がある気がします。
勉強をするための情報源は、
本来何でもいいはずです。
「学校の勉強や教科書から学ぶものは高尚で、
それ以外は取るに足らない」
という決めつけには、
それを正しいとする根拠が希薄であると
現段階では言わざるを得ません。
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私は、
テレビや漫画であっても勉強しようと思えば勉強できると思います。
昔、「クイズダービー」というテレビ番組がありました。
その番組で、
「はらたいら」さんという漫画家の方が
回答者として出演されていらっしゃいました。
番組では、
1回の放送で9問のクイズが出題されるのですが、
「はらたいら」さんの平均正解率は、
脅威の7割4分8厘(1回あたりの平均正答数6.7問)でした。
当時クイズ番組はたくさんありました。
・アメリカ横断ウルトラクイズ
・アップダウンクイズ
・クイズタイムショック
など、挙げたらキリがありません。
しかし、問題がダントツに難しかったのが、
クイズダービーでした。
たとえば、こんな問題です。
「あるアフリカの新聞で、変わった記事が紹介されました。
さて、それは何でしょう」
といった問題です。
(昔の記憶ですので、詳細が違う可能性がありますが、ご容赦ください)
「はらたいら」さん以外の回答者は、
全員答えられませんでしたが、
「はらたいら」さんは、唯一正解していました。
司会の大橋巨泉さんが
「はらさん、これ知っていました?」と質問すると、
「ええ、先週読んだ記事の中で
そんなものがあった気がします」
と答えていました。
聞くところによると、
漫画家の人は、
特に「はらたいら」さんのように
毎日新聞連載されるような四コマ漫画を描く人は、
その題材のヒントを得るために
ありとあらゆる出版物や記事を
隅から隅まで読むんだそうです。
すべての新聞、週刊誌、月刊誌、小説や漫画、
時には企業の社内報みたいなもの、
ひいては、テレビ番組など、
自分の中にインプットできる情報はすべて習得し、
勉強しているのだそうです。
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先ほどクイズダービーの出題は9問といいましたが、
その内2問は三択です。
「はらたいら」さんは、三択が苦手で、
彼が誤答する問題は、ほとんどが三択問題でした。
彼の1回あたりの平均正答数が6.7問でしたので、
三択の2問を除けば、
ほぼ全問正解ということになります。
これは物凄いことだと思います。
そして、
「はらたいら」さんが、
こうした好成績を収めることができためのも、
偏に彼の日々の努力の賜物に他ならないと思います。
私は子供ながらに
「はらたいら」さんに負けないように毎回クイズに挑みました。
もちろん、全然叶いませんでしたが、
クイズを正解するために、色々な書物を読み、
またクイズを通じて私の知識が増えたことは
紛れもない事実です。
少なくとも私にとって「クイズダービー」というテレビ番組は
格好の勉強の場でした。
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クイズダービーの回答者の中には、
現在インテリ芸能人、あるいはクイズの女王として有名な
「宮崎美子」さんもいらっしゃいました。
彼女は
近年「Qさま」や「タイムショック」などのクイズ番組に出演し、
しばしば優勝されています。
彼女のクイズダービーでの正解率は、
4割(1回あたりの正答数3.6問)でした。
このことからも、
クイズダービーの問題がいかに難しかったということが、
お分かりいただけるでしょう。
そして、
改めて「はらたいら」さんの成績の凄さに
感心せざるを得ません。
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「それはクイズのような雑学だから」と、
おっしゃる方もいらっしゃるでしょう。
それはその通りです。
でも、これらの知識のすべてが
全く無用なものだと誰が言えるでしょうか。
情報は、正しいものとそうでないものが必ず存在します。
ですから、
習得した情報は
必ずそれが正しいのかどうかを確認しなければなりません。
また、情報には、
有益なものと無益なものがあります。
しかし、そもそも有益とは何でしょうか。
もし、有益と無益が
自分にとって役に立つか否か、
あるいは
社会にとって役に立つか否かで
決まるのだとしたら、
その情報が何であれ、
使い方によって
有益か、無益かは決まるのではないでしょうか。
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たとえば、
「明日、あるスーパーで安売りがある」
という情報があったとします。
何か食材を買う必要がある人にとっては
その情報は有益なものかもしれません。
しかし、
そうでない人には、無益なものとなります。
あるいは、
そのスーパーが近所にある人には
有益な情報かもしれませんが、
値引き分以上の交通費がかかる人には、
無益なものになってしまいます。
習得した知識が有用であるか、無用であるかも
同じではないでしょうか。
その知識が
その人にとって、
あるいは
社会にとって、
有用なものになるのか、
無用なものになるのかは、
その知識をどのように活用するかで
決まるのではないでしょうか。
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そもそも
学校で学んだことはすべて有用なのでしょうか。
みなさんは、学生時代に
「こんなものを習って、将来何の役に立つのか」
と思った経験はありませんか?
たとえば、中学の化学の授業で
元素記号を勉強するのに
「水兵リーベ、僕の舟…」と暗記したりしましたが、
その勉強は現在役にたっていますか?
「はい」と答える人は少ないかもしれませんが、
それでも「はい」と答える人はそれなりにいらっしゃるはずです。
化学メーカーにお勤めの方や薬剤師の方は、
日常当たり前のように使っている知識だからです。
そして、
一般人の私たちだって
地球温暖化のニュースが流れ、
そこに「CO2」とあったら、
「C」は炭素で、「O」は酸素だから、
「CO2」は二酸化炭素だと理解ができるのではないでしょうか。
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学校の勉強でも、
学んだ知識の使う頻度によって有用か、無用かは分かれますし、
無用と感じている人でも、場合によっては有用になることもあるのです。
「ドラゴンクエスト」というゲームをご存じですか。
悪魔に侵略される世界を救うために、
主人公が立ち向かっていくというストーリーなのですが、
新しいステージが始まる度に、敵キャラが強くなり、
しばしば主人公が死んでしまうほどの試練にぶちあたります。
現実の世界で、死んでしまったらそれですべてが終わってしまいますが、
ドラゴンクエストの世界では、
死んでも教会でお金を払えば、
また生き返ることができるので、
ゲーム上では特に問題はありませんが、
プレイをしている私たちからすると
主人公が死んでしまうことには
大変ショックを受け、
その後ゲームを継続することにも
一瞬躊躇してしまいます。
しかし、ここで中断してしまったら、
ゲームをクリアすることはできません。
だから、
また死んでしまうかもしれないという恐怖と戦いながらも、
挫けることなく苦難に立ち向かい続けなければなりません。
そして、
挑戦を続けた者のみが、レベルアップ(=成長)できるのです。
レベルアップする時に、
「タラッタ、タッタッター」といった音楽が流れますが、
この時に続けて良かったと実感します。
そして、この一連の流れは
人間の成長ロセスと同じであると
私は感じています。
すなわち、
私たちは何かを始める時、
最初はなかなか自分の思い通りにはできません。
そこで、諦めてしまえば、それで終わりですが、
諦めず継続して最後までやりきった人だけが、
成長し、成功にたどり着くことができるのではないでしょうか。
私は、「ドラゴンクエスト」というゲームから、
人間が成長するために必要なものを学びました。
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このように、
知識や情報は入手元が重要なのではなくて、
それをどのように私たちが解釈し、
活用するかが問題であるのだと
私は考えます。
そうであるならば、
入手元にこだわることに意味はありません。
むしろ、
入手する量と活用方法に意味があるはずです。
だったら
楽しく勉強することで、
できるだけたくさんの知識を取り入れ、
有用に活用した方が良いはずです。
私が高校生の頃、
源氏物語をできるだけ効率的に勉強するために、
漫画の「あさきゆめみし」を読む友人が多くいました。
原文で読んでいたら、その勉強時間はとてつもなくかかります。
しかし、漫画でだいたいのあらすじを理解していれば、
その後に原文を読んだとしても、
その勉強時間は大幅に短縮されます。
何よりあらすじも知らずに原文を読むのは
多くの人にとって苦痛でしかありません。
苦痛であれば、勉強も嫌いになりかねません。
そもそも情報や知識を習得することは
勉強の目的ではありません。
手段に過ぎません。
その習得した情報や知識をいかに活用かるかが重要です。
それなのに、情報や知識を習得する段階で嫌気がさしていたら、
「勉強嫌いの人間」を大量生産するだけではないでしょうか。
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私は小学生の頃から
教科書は漫画で、
授業は動画(映画やアニメーション)で、
先生はミュージカルのように歌と踊りで
教えてくれたらどんなに楽しく、
またその内容が記憶に残るのではないかと
いつも考えていました。
そして、
先生が書く板書をノートに書き写したり、
自分以外の生徒が先生の出す問題を黒板に書いて答える時間ほど
無駄で無益なものはないと思っていました。
それは今でも変わりません。
日本史の授業であれば、
大河ドラマである程度代用できます。
いや文部科学省がそのような動画を作成して、
授業で使用したり、
生徒が見たいときに何度も見ることができるようにしてくれれば、
もっと生徒たちの歴史の成績は良くなるはずです。
板書は、生徒が授業中にノートに書き写すよりも、
先生があらかじめ作成したプリントを配った方が、
生徒は授業に集中できます。
自分以外の生徒が先生の出す問題に黒板に書いて答えても、
その答えている生徒以外の頭にはほとんど記憶に残りません。
だったら、
生徒に答えさせる問題をアプリにして
クイズ形式で出題されたものを
生徒一人ひとりが答える方が
よほど学習成果は高くなるのではないでしょうか。
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知識の習得は、
できるだけ楽しく、短時間で学ぶための工夫が必要です。
その工夫については、別のブログでご紹介する予定ですので、
ここでは割愛いたします。
知識は単に習得することが目的ではありません。
それを、有用に活用して、有益なものにすることが重要です。
実際、社会に出たら応用力が求められます。
よく「東大を出ていても、仕事ができるとは限らない」と言われます。
もちろん、東大を卒業された方たちはみなさん優秀です。
しかし、
そのように優秀な方たちでも
民間企業で活躍できる人は
意外に少ないというのも事実です。
なぜでしょうか。
それはインプットした知識をうまく活用できていないからです。
民間企業では、知識や情報をただ持っているだけでなく、
それらをうまく活用し、
お客様が求める商品を開発したり、
作りやすいように設計したり、
お客様の信頼を得たり、
することが求められます。
すなわち、
情報や知識をできるだけたくさんインプットすると同時に
それを活用する力を高めていかないと
社会では通用しないのです。
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アメリカの学校では、
知識の習得よりも子供たち一人一人が
自主的な思考を育てることに重点が置かれているそうです。
実際、低学年の間は教科書がない学校も多いようです。
先生はプリントを配り、
子供たちはそれを自らの頭で考え、
解いていく。
もし学校の授業についていけない場合は、
留年することもあるそうです。
日本は、なまじ教科書があるがために、
教科書で今日は何ページまで教えなければならない。
この学年では教科書のここまで教えなければならない。
こんな発想があるような気がしてなりません。
そして、
アメリカの学校では、知識をただ習得するだけでなく、
それを活用するためにロジカルシンキングやディベートを学びます。
知識だけでは単なる点ですが、
ロジカルシンキングやディベートで
その点と点のつながりを学び、
面として認識する訓練を
アメリカの学校では小さい頃からしています。
日本の政府やビジネスマンが
アメリカの政府や企業に
交渉力で負けてしまうという場面をよく目にしますが、
これは偏に、
知識を活用する訓練を十分に積んでいないことに他なりません。
別に日本人がアメリカ人に劣っている訳ではありません。
日本の学校教育は、知識の習得に重点を置いていますが、
それだけでは不十分です。
知識の習得は、もちろん必要です。
ただ、それがゴールではありません。
むしろ、スタートです。
習得した知識をいかに効果的に活用するかが重要です。
そのために、知識の習得はできるだけ効率的に楽しく行うべきです。
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楽しく勉強するための手段は
その人に合う方法であれば
何でもいいと思います。
漫画やアニメ、ゲームだって
向き合い方次第では、十分に勉強になります。
ただ、漫然と向き合っていては、単なる時間浪費に過ぎません。
そこから、何かを学ぼうとする意志と姿勢が必要です。
ご参考までに私が勉強になったと思う漫画やドラマ、映画などを以下にご紹介します。
皆さんも、あるいは皆さんのお子さんの、
楽しく勉強するご参考になれば幸いです。
成功のために必要な教訓を学べる作品
【スラムダンク(井上雄彦、集英社)】
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【弱虫ペダル(渡辺航、少年チャンピオン・コミックス)】
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勉強の仕方が学べる作品
【ドラゴン桜(三田紀房、モーニングKC)
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【下剋上受験(桜井信一、産経新聞出版)】
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【ビリギャル(TBSオンデマンド)】
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歴史の勉強として参考になった作品
【三国志(横山光輝、潮漫画文庫)】
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【キングダム(原泰久、集英社)】
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古文の勉強として参考になった作品
【あさきゆめみし(大和和紀、KC KISS)】
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ビジネスで参考になった作品
【課長 島耕作(弘兼憲史、講談社漫画文庫)】
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【カバチタレ(田島隆、モーニングKC)】
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【ナニワ金融道(青木雄二プロダクション、ヤングジャンプコミックス)】
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これらの作品から私が何を学んだかについては
それぞれ別のブログでご紹介したいと思いますので、
その時までお待ちいただけば幸いです。
太海
