「よわむし、マイク」

ここはアフリカの草原です。

マイクがいつもの通り散歩しています。

マイクは、子供のライオンです。

ある時、お父さんライオンのケリーがマイクに言いました。

「そろそろお前に狩りを教えねばならない。

ライオンは、自分で食べる動物を自分で捕まえなければならないんだよ。

もしそれができなければ、お前は食べ物にありつくことができないばかりか、

将来家族を持った時には、家族みんなが飢え死にしてしまうんだよ」 

マイクは言いました。

「僕は狩りなんてできないよ。

だって動物はみんな僕より大きいんだもの」

マイクは臆病だったのです。

ケリーは、毎日マイクを狩りに行くように説得しました。

お母さんライオンのヘレンも説得しました。

でも、マイクはがんとして言うことを聞こうとしません。

マイクは、他の動物と戦うのが恐くて仕方がなかったのです。

あまりにもマイクが言うことをきかないので、

ケリーもヘレンも、どうしたらいいのかわからなくなってまいました。

「このままではマイクは一人で生きていけなくなってしまう」

ケリーとヘレンは、村の長老であるイアンに相談しに行きました。

そこで、村の長老であるイアンに相談に行くことにしました。

「長老様、うちのマイクは他の動物を恐がって狩りに出ようとしません。

このままでは一人で生きていくことができなくなってしまいます。

どうしたらよいでしょうか?」

そこでイアンは言いました。

「昔からライオンは、子供を教育するときに、

千尋の谷に突き落として、這い上がってきた子だけをかわいがると言うじゃないか。

甘やかしてはいけないよ」

「そんなことをしたら、うちのマイクは死んでしまいます」

とケリーとヘレンは言いました。

これを聞いて、イアンはしばらく黙って考えていました。

しばらくして、イアンが言いました。

「一度マイクをここに連れてきなさい。」

早速、ケリーとヘレンは、

マイクをイアンのところまで連れていきました。

「マイク、お前はなぜ狩りに出ないのか?」とイアンは尋ねました。

「他の動物は、みんな僕より大きいんだ。だから恐いんだ」

とマイクが答えました。

「うん、確かに他の動物はお前より大きい。

でも、恐がることはないんだよ。

なぜなら、お前はライオンなんだから。

他の動物たちは、お前が小さいからバカにしてくるかもしれない。

しかし、本当は心の中では、お前がライオンだから恐がっているんだよ」

とイアンが言いました。

「本当?」とマイクは尋ねました。

「ああ本当だとも。

お前に一つ良いことを教えてやろう!

良い結果を思い描けば、それは必ず実現する。

悪い結果を思い描けば、必ず失敗する。

だから、良い結果だけを思い描くように心がけなさい。

お前は強くて誇り高いライオンなんだから・・・」

とイアンは言いました。

イアンの言葉を聞いて、何か今までの不安がどこかにとんでいく気持ちがしました。

翌日、マイクはイアンの言葉を信じて、初めて狩りに出かけました。

最初は、「恐い」という気持ちがどこか残っていましたが、

懸命にそれを打ち消して、狩りが成功するイメージだけを思うようにしました。

マイクは、意を決して、インパラに嚙みつきました。

インパラも必死でマイクに抵抗しました。

マイクとインパラの戦いは、壮絶なもので、なかなか決着がつませんでしたが、

マイクは「僕は強いライオンなんだ」と心の中で念じ続け、

攻撃の手を緩めませんでした。

そして、とうとうインパラをしとめたのです。

すっかり自信をつけたマイクは、

もう弱虫ではありませんでした。

次の日からは、ケリーに言われなくても、

マイクは、進んで狩りに出かけるようになりました。

そして、狩りをするたびに、その腕をめきめきと上達させ、

狩りの名人になったとさ。

                               【おしまい】